2006.11.17

石川賢氏、急逝

 そろそろ次のネタを……と思っていた矢先、訃報記事が続くことになってしまった。

 石川賢。
 最近の自分にとっては『ゲッターロボ』シリーズの作者であり、名前を意識し始めた最初の頃は『魔界転生』の作者であり、もっと前にさかのぼれば、小学生のころ、病院の待合室で読んだ『魔獣戦線』ラストシーンの強烈な印象が忘れられない人だった。

 画力の凄まじさは最強。
 オリジナル作品の面白さはもちろん、原作つき作品の場合「いかにあの原作をひねってくれるか」という(最高に良い意味での)原作バスターっぷりを楽しませてくれる人だった。

 すべての作品を好きだとは言わない。
 未完の作品もむやみに多い。

 でも、これで「ああ、あの作品を石川賢が漫画化してくれたら、最高だろうなぁ」「あの作品を十数年ぶりに再開したら凄かろうなぁ」と想像する楽しみが、二度と味わえなくなるのは、本当に寂しい。

 御冥福をお祈りします。

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2006.09.13

ゴディバよりチロルチョコを選ぶ人(落語風に)

 えー、趣味というものにもいろいろ段階がございまして、はじめのうちは初心者向けのわかりやすいものを楽しんでいるのが普通ですが、だんだん年季が入ってまいりますと、より良いものを、より高尚なものを、と、だんだん深みにはまって行くものでございます。
 さて、そうして深みへはまって行った先にどうなるかというと、だいたい三種類に別れるようでございます。

 一つは自分にちょうどいいあたりのレベルに落ち着いて、飽きがくるまで続ける人。
 大抵の人はこうなります。

 もう一つは、今まで以上に良いものを、今まで以上に高級なものを、究極だ、至高だ、と言ってあくまでも高みを目指す人。

 そうして最後の種類は、ある所まで行くとふと原点に立ち戻って、安物ですとか、しょーもないものですとか、世間一般には「くだらない」の一言で片づけられるようなものに、たまらない魅力を感じ始める人がおられます。

 この、いわば「三つ星レストランを食べ回った揚げ句に、駄菓子屋の10円駄菓子へ帰ってきたグルメ」みたいな人というのは、特撮ファンという人種には少なからずいらっしゃるようで、中でもその筋の泰斗と言えるのが『パチモン大王』などの著書もある漫画家の唐澤なをき氏であり、特撮界の「10円駄菓子」中、一と言って二と下らない作品が、伝説の5分番組『ウルトラファイト』でございます。

 この、言ってみれば究極至高を(特殊な意味で)極めた素材を達人の手で料理した逸品が、先ごろ単行本にまとまりました『ウルトラファイト番外地』というわけでございます。

 なにせ昔から自作の中で『ウルトラファイト』をさんざんパロディしてきた作者が、円谷プロの公認を受けて(!)描いているしろものです。
『ウルトラファイト』を見たことのない人は「また唐澤なをきが好き放題やってるな」と思うだけかもしれませんが、本物を(特に後半の話を)見たことのある人なら
「ああ、まるで昭和の技術で撮った『ウルトラファイト』の新作を見るようだ」
 と、なんとも微妙な快感に浸れる作品でございます(笑)。

 かくいう私も「DVDになるのは絶対に最後だ」と信じてLDボックスを購入したという過去の持ち主で、読んでる間中、脳内で山田二郎アナの声が流れっぱなしでありました(^^;)。

 ……しかし2ヶ月も更新止まってて、読んだ本を元に「孔子の説いた礼」やら「ナチスとオカルティズム」やらのネタを温めておきながら、久々の記事が『ウルトラファイト』ってのは我ながらなんとも……まあ、いいか。

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2005.05.01

ついに完結。

 最初「正気か?」と思ってから1年弱。
 未完に終わった伝説の原作を劇画化した石川賢『神州纐纈城』が、この2月、ついに完結した。

 甲斐の武田信玄に使える「鳥刺し」高坂甚太郎は、他国の忍びを追跡中、霧の中に浮かぶ城と魔の軍勢を目にする。
 一方、武田家の若き重臣・土屋庄三郎は、奇怪な布売りから人の血で染めた深紅の布・纐纈布を渡され、妻と弟の密通を疑って乱心した父・庄八郎が、彼を纐纈城へ招いていると告げられる。
 連夜の悪夢にうなされた庄三郎はついに出奔し、高坂甚太郎たちが追っ手に差し向けられた。
 庄三郎、甚太郎、さらには自分の病を癒した五臓丸の出所を追う剣聖・塚原卜伝、彼らは纐纈城の噂に引き寄せられ、富士の麓に集まってくる。
 そして本栖湖には、あり得べからざる魔界の城が……。
 というのが、1巻の前半までのあらすじなのだからものすごい。

 三巻の最後で、未完に終わった原作のラストに当たるシーンを使っていて、さらに独自の「引き」のシーンで終えていたのだが、それをふまえて見事、魔界と化した纐纈城の秘密にけりをつけて見せたのは、さすが石川賢。
 …………って、これだけきっちり本筋を完結させておいて、あえてこのラストシーンを持ってくるか。
 何というか、石川賢(ダイナミックプロ?)ののようなものを感じてしまった(^^;)。

 最終巻が出てから2ヶ月以上もたってしまって少々時機を逸した感じだが、これはやっぱり紹介しておきたくて記事にしてみた。

『神州纐纈城<一>血ぞめの布の謎』
『神州纐纈城<二>魔の巣窟──纐纈城』
『神州纐纈城<三>織田信長対吸血軍の戦い』
『神州纐纈城<四>想念の魔城──纐纈城の最後』

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2004.05.25

未完なる地獄

 初めて知ったときは「正気か?!」と思ったのはここだけの話。
 あの、未完の帝王(ごめんなさい(^^;))石川賢が、未完に終わった国枝史郎『神州纐纈城』をコミック化するというのだから、いろんな意味で「最後はどうなるのか」が気になるのは当然である。
 と言うことで石川賢『神州纐纈城<一> 血ぞめの布の謎』を購入、一気に読了。
 やはりというか石川賢得意の魔界っぷりがしっかり織り込まれているが、それでも原作の「気配」が見事に再現されている。
 原作のストーリーをなぞっているわけではないのに、原作そのままのイメージが……と考えているうちに、国枝史郎の原作と石川賢の時代物が、かなり近い空気を共有しているのではないかと思えてきた。
 石川賢の完結した作品もかなり面白いので、未完の原作をどう料理してくれるか、これからが非常に楽しみ。

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