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2008.07.31

老境の旅人

 今年のフェアの『今日の早川さん』オビをなかなか見かけない……と探し回って渋谷パルコの地下でみつけた、ロバート・シルヴァーバーグ『夜の翼』を読了。
 読む前に想像していたよりSF色が強いというか、ホジスン『ナイトランド』みたいなのを想像していたらクラーク『都市と星』に近かった、というか。話の内容は全く違うのだけれども。

 語り手となる主人公がすでに老人であるせいか、頭上で戦闘が繰り広げられているシーンであってもピアノかオルゴールの音が聞こえてきそうな文章が心地よい。
 内容的には自分が苦手とするような(つらい話の出てくる)ストーリーなのだが、不思議と引っかからずに読み進められた。

 この主人公の諦念と惰性といらだちの入り交じった境地は、二十代の頃に読んでいてもぴんと来なかったかもしれない。
 同じ文章を読み取っていても、そこから実感を持って感じ取れるものに何があるかは、年齢によって確実に違ってくると思う。
 ……でも、シルヴァーバーグはこの話を三十代半ばで書いてるんだよなあ。
 これだから天才は。

 Amazonのレビューでも書いている人がいたけど、後半の「救い」の舞台が少々キリスト教的すぎるのが残念と言えば残念。
 とはいえ鼻につくほどではないので、一度発達した文明が衰退した後の世界を描く「遠未来SF」が好きなひとにはお勧め。

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