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2008.07.08

夏らしく怖い話を読む

 ……読んでるときは全く考えてなかったんだけど、もう夏だからそういうシーズンなんだよな。
 オーガスト・ダーレス編のホラー・アンソロジー『漆黒の霊魂』を読了。
 なかなか面白かった。
 元が1962年に出た書き下ろしアンソロジー(すでに故人の作者については未発表の遺稿を収録)との事で、今の目で見るとやや古めかしい作品もあるが、それも含めていい味わいの作品が収録されている。
 取りあえず印象に残った作品の感想をいくつか。

『ミス・エスパーソン』スティーブン・グレンドン
 作者はダーレスの別ペンネーム。
 やっぱりダーレスって小説上手いなあ。
 なのになんでクトゥルーものの「合作」だけあんな作品になっちゃうんだろう。

『カーパー・ハウスの怪』カール・ジャコビ
 ネクロフォビアな人には勧められない……いや、ホラーだからお薦めの作品、になるのか?
 文章から死臭が漂ってくるような感じが凄い。

『灰色の神が通る』ロバート・E・ハワード
 この本に収録された中ではちょっと異色な、歴史時代のアイルランドを舞台としたハワードらしい作品。
 キリスト教化したアイルランド・スコットランド系諸族と、まだオーディンへの信仰を持っていたゲルマン系諸族の激突にゲルマン神話の没落を絡めて、かなり迫力のある仕上がり。
 とにかく部族名と人名が解説抜きで大量に出てくるので、誰がどっちの勢力なのか予備知識があるか読み返すかしないととてもついて行けない状態になるのだけが欠点か。
 この辺が生前未発表だった所以かも。
 でも、ハワードが本当に書きたかったのは、こういう作品なんだろうなあ。ファンなら一読の価値有り。

『魔女の谷』H.P.ラヴクラフト&オーガスト・ダーレス
 これは神話ネタがミスカトニック大学と蔵書の「ネクロノミコン」しか出てこないせいか、合作ものでも悪くない仕上がり。

『窯』ジョン・メトカーフ
 うーん、凄くいやな後味の作品(注:ホラーとしてはほめ言葉)。
 主人公の度を超した思いこみ&思い入れの感じが、クライマックスへ向けてどんどん盛り上がっていくのがさすが。


 このほかの作品も結構いい感じ。
 丸善で衝動買いしたんだけど、かなり楽しめた。

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