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2008.02.28

圧倒的復讐譚

 前にも書いた気がするが、自分は結構「基礎教養」扱いの名作を読み損ねたまま来てしまっている。
 古本屋巡りの甲斐もあってだいぶフォローしてきたのだが、そういう本に限って読み終えた直後に新装版が出たりする。
 で、「これは絶対新装版が出るから、古書で買わずに待っておこう」と待ち続けてもう5年以上。
 ようやくアルフレッド・ベスター『虎よ、虎よ!』の新装版が出たのを知り、ついに読むことができた。

 帯の夢枕獏氏も、解説の浅倉久志氏も書いているが、一読して伝わってくるのがその迫力
 冒頭から、それだけで短編一本書けそうなアイデアがこれでもかと注ぎこまれ、混沌と退廃に満ちた25世紀の舞台を作り上げている。
 その舞台の上で主役を演じるのが、圧倒的な復讐心により突き進むガリヴァー・フォイル。

 SFに興味のある人ならば、この作品が「ジョウント」と呼ばれるテレポーテーション(ただし、移動できるのは実際に目で見たことのある場所の間だけ)が一般化した世界で、破壊された宇宙船にただ一人生き残った主人公が、自分の救難信号を見つけながら無視して去っていった宇宙船『ヴォーガ』への復讐を誓うシーンから始まることは、どこかで知っていることだろう。

 それ以上の予備知識は、できるだけ仕入れずに読む方がいい。
 そしてこの物語の凄まじさを、存分に味わうのだ。

 いや、ほんとに凄かった。
「傑作」と言われ続けるのもよくわかる。

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