« 石川賢氏、急逝 | トップページ | 今年読んだ本をいくつか その2 »

2006.12.26

今年読んだ本をいくつか

 トップが訃報記事のまま新年を迎えるのも少々暗いので、今年読んだ本の中から、まだ感想をここに書いていなかったものをいくつか上げてみる。
 中には余所で感想書いたものもあるけど、二度読みした方はご容赦を。


『本当にいる世界の「未知生物(UMA)」案内』天野ミチヒロ
 コンビニ漫画のような装丁に毒々しいキッチュな表紙、完全にキワモノ……と見せかけておいて、実は非常によくできた本。
 ページをめくると、子供のころにわくわくしながら読んだ世界の「怪獣」(昔の小学生はUMAなんて言葉、使わなかったんだよ)が目白押し。
 それだけなら他にもありそうなものだが、この本の良い所は「正体の判明したものについては明記する、明らかに信憑性の薄い話はツッコミを入れる」というスタンスがちゃんとしていること。
 こういう本が欲しかったんだよ、元・怪獣少年のおじさんは。
 個人的には「カナス湖の巨大魚」の項で、故・開高健がモンゴルまで巨大魚を釣りに行った話もちゃんと紹介されていて、当時その様子をTVで見ていた身としては非常に懐かしかった。
 この内容で税込み580円。
 もしかしたら今年のベストブックかもしれない(笑)。


『東方学報第七十三冊』
 中島長文氏による「『任昉述異記』校本」ならびに「『任昉述異記』考」が収録されているので、以前から欲しいと思っていたのだが、2001年3月の号なので「無理かな?」と思っていたのだが、神保町は山本書店にて発見。
 中国神話関係者には蚩尤伝説の基本文献扱いされている任昉述異記だが、「『任昉述異記』考」では梁代の著者に仮託されたこの本が、実際には中唐~北宋の間にいろんな書物からの記述を集めて作られた、ということを文献学的に論じていて非常に面白かった(^^;)。
 ……でも、自分にとって肝心(?)の「亀足・蛇首」の蚩尤については出所不明のようだ。残念。


『神々と獣たち ナチ・オカルティズムの謎』ダスティ・スクラー
 神保町での掘り出し物。今は亡き大陸書房より、昭和63年五月12日初版(約20年前の本なので、さすがにAmazonに情報がなく、目次の載っていた紀伊国屋書店のサイトへリンクしてある)。
 1920~40年代ヨーロッパを舞台にした伝奇モノでは定番のナチスとオカルト思想の関連について、19世紀末~1930年代の社会情勢とあわせて解説した本。
 決してあやしげな内容ではなく、むしろ「いかにして当時のドイツ人たちが、超科学とオカルトにだまされて行ったか」という、オウム真理教事件にも直結する問題を扱っている(出版はオウム事件より前なので、カルト教団の例としては統一教会が上げられていた)。
「真の神が創ったのは霊界だけで、この世を創ったのは『邪悪な造物主(デミウルゴス)』である」というグノーシス主義の思想が、
 新約聖書の神=真の神
 旧約聖書の神(=ユダヤ教の神)=邪悪な造物主
という図式によりユダヤ人迫害の思想的根拠になっていた、というのは指摘されて初めて気がついた。
 この本については、いつか改めて感想をまとめるつもり。


『真ク・リトル・リトル神話体系』9巻
 これも古書店で入手。これでしか読めない作品がいっぱい収録されているので前から欲しかった一冊。
 リン・カーターの作品は『墳墓の主』『シャッガイ』の2作が収録されているが……リン・カーターって、本当に見事なファンフィクション書きだなあ(^^;)。


……他にも面白かった本はいろいろあるけど、長くなって来たので取りあえずここまで。

|

« 石川賢氏、急逝 | トップページ | 今年読んだ本をいくつか その2 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18659/13211504

この記事へのトラックバック一覧です: 今年読んだ本をいくつか:

« 石川賢氏、急逝 | トップページ | 今年読んだ本をいくつか その2 »