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2006.01.23

1931年1月23日、レイク隊の見たもの

 1931年1月22日午前4時、ミスカトニック大学南極探検隊の分遣隊であるレイク隊は、4機の飛行機に12人の隊員を乗せて、ベースキャンプから北西の方向へ出発した。
 同日午後10時5分、飛行中の彼らは、ヒマラヤ山脈に匹敵する巨大な山脈を発見する。
 一機の不調で山脈の麓近くにある台地に着陸した一行は、山脈周辺の調査飛行と平行してボーリングと発破による地質調査を開始。
 翌23日の午後、発破によって広げられた穴が、古生代~中生代の生物の骨が大量に存在する地下洞窟を堀り当てる。
 午後10時15分、彼らは洞窟内で今までにない標本を発見し、苦労の末地上へ運び上げることに成功する。
 そして翌24日──彼らは連絡を絶った。

 ……以前から一度やりたいと思っていたのが「作品ゆかりの日付に合わせて本を読む」というやつ。
 しかし、たいていそういうのに気づくのはその日が過ぎた後で、ネットで「今日は○○のあった日だ」等という書き込みを(翌日になってから)見つけて、あーしまったと思うのが通例だった。

 今年、たまたま思い出して調べたところ、ちょうどもうすぐその日が来ると気がついたので、『ラヴクラフト全集4』所収の『狂気の山脈にて』を読み返してみた。

 恐怖小説の作家として知られるラヴクラフトだが、彼はSFとしても通用する作品をいくつか書いている。この作品もその一つに上げてよいだろう。

 人類以前の文明、原生生物の先祖を作り出した先行種族……というと、今はやりの(?)創造進化説のようだが、ラヴクラフトが考えたのはそんなに宗教がかった話ではない。
 この作品の中では、我々人類……どころか現存する生物一般は、いわば野生化した家畜が勝手に進化したものなのだ。

 人類と似ても似つかない、異質な姿をした生物による文明を目にした主人公は、その衝撃を「冒涜的」「忌まわしい驚異」と表現する。
 異質なものを「冒涜的」「悍ましい」と表現しつづけるラヴクラフトの定番ともいえる描写だが、その彼をして言わしめた、ラスト近くのあの有名な言葉。
(あえてここでは書かない。調べればすぐわかるし、ネタばれにもなるしね。)
 ……古いといえば古い話かもしれないが、彼のSFももう少し読みたかった気もする。

『クトゥルフ神話ガイドブック』によれば、ラヴクラフトがSFに本格参入しなかったのは、彼の『宇宙からの色』(これも『全集4』所収)をヒューゴー・ガーンズバックが当時としても破格の安値で買い叩いたことに憤慨したためらしい。
 明朗健全な科学小説を目指したガーンズバックの度量がもう少し広ければ……いや、歴史のIFは、物語かゲームの中だけにしておこう。

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