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2004.11.12

源氏でなくても将軍に「は」なれる

 司馬遷を現代人の考えるような「歴史家」としてではなく、「祭祀の専門家」でありごく平均的な官僚として見せてくれた『司馬遷の旅』に引き続き、見慣れた歴史を斜め横から見せてくれる本をもう一冊。
 岡野友彦『源氏と日本国王』を読了。

 源頼朝が鎌倉幕府を開いてより徳川慶喜の大政奉還に至るまで、日本の国家主権を握っていたのは「征夷大将軍」……という常識に思い切り揺さぶりをかけてくれる本。
 つまるところ「征夷大将軍」とは単なる軍事長官に過ぎず、国家の主権者たることには別のよりどころがあった。それが「「たまたま臣籍に身を置く皇族」に他ならず、いざというときにはいつでも親王に復し、皇位につくことすら可能な「氏」(本文より)」=「源氏」の「長者」という立場ではないか……というほど簡単ではないが、その間単にまとめられないことを素人にもわかりやすく解説してくれているのがありがたい。
 
 終章に書かれていた「劉氏の漢」「曹氏の魏」「李氏の朝鮮」などと同じく、「天皇氏」の国号が「日本」であり、中華皇帝的な立場を目指した信長や秀吉の存在が天皇家に脅威だったこと、さらには秀吉の朝鮮出兵失敗による「中華皇帝路線」の行き詰まりの結果、家康が従来の日本の枠内に収まる「源氏長者」として国家主権者になったという説も非常に面白かった。

 「氏」と「家」の関係など、いろいろと興味深いところをつついてくれる。
 日本史に興味がある人にはかなりおすすめ。

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