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2004.06.08

神話が「創作」されるとき

 うちのサイトは中国の神話・伝説ネタをメインに扱っているのだが、関連した本を読んでいるとしばしば日本神話との比較が出てきたりする。
 自分も日本人の端くれとして『古事記』(岩波文庫で一応全部)や『日本書紀』(こちらは現代語訳で最初の3分の1までだが)に一応目は通していたけれど、そろそろもう少し調べてみるか……というわけで、直木孝次郎『日本神話と古代国家』を読了。
 初版は1990年だが、収録されている文のいくつかは1960年代後半から書かれているので、しばしば「紀元節祝日化」だの「1967年の教育審議会の答申」だのに対する懸念や反論が出てきたりして、時代を感じさせてくれる。

 『古事記』も『日本書紀』も編纂当時の朝廷の意向によって作られたもので、その内容も当然、当時の朝廷の意図に合わせて編集・改編されているのだが、そのあたりの事情や時代背景がわかりやすく解説されている。
 神武東征のルートが壬申の乱における天武天皇の進軍コースに対応していたり、同じく神武天皇が日向から大和に向かう途中、二カ所に七年と八年留まるのを、継体天皇が越の国から大和に入る途中で二カ所に七年と八年留まったのと対応していたり、といったモトネタ探しも興味深い。
 つまるところ、記紀の天皇紀って、開化天皇以前は、『史記』に例えれば「五帝本紀」か「殷本紀」の前半みたいなものなのだな……って、この例えも我ながらどうかと思うが(笑)。

 いわゆる神代の話が天孫光臨以外にほとんど出てこないが、本の趣旨を考えれば仕方のないところか。
 かなり面白かった。

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