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2004.04.12

連続と断絶と

 岡村秀典『夏王朝 王権誕生の考古学』を読了。
 甲骨文字による「証拠」の出てきた殷王朝と違い、文献と比較できる文字資料が発掘されない夏王朝を認める論議は少々眉唾な所があると思っていたのだが、この本を読むと「二里頭文化が夏王朝伝説のモデルと言っていいのでは」という主張にはかなり納得がいった。

 文献に見られる禹や夏王朝の伝説をあくまで伝説として参考にとどめ、殷王朝につながる文化に倒された王朝規模の文化はなにか……と見たところで、二里頭文化を夏王朝とするのはなかなか説得力がある。
 後の王朝に受け継がれる儀式の会場としての宮殿構造や飲酒儀礼、一方で殷(二里岡文化)以降は断絶してしまった肉を焼いて食べる習慣(殷では肉を煮て食べる)など、連続と断絶の差が興味深い。
 夏王朝伝説をまとめた一章、二章もよいが、やはり第三章以降の考古学研究の成果を紹介したところが非常に面白かった。

 著者もあとがきで「人を見る」姿勢を強調していたが、考古学ネタの醍醐味は、やはり当時生きていた人たちの暮らしぶりを復元するところにあるよなあ。

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