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2004.04.30

闇と共に暮らす

 先日、古本屋で衝動買いした夢枕貘+天野喜孝『鬼譚草紙』を読了。
 平安時代を舞台にした夢枕貘の三つの物語に、天野喜孝がたっぷりとイラストをつけている。
 なにせ作者の二人が「何かHな譚(はなし)をやりたいねえ」と語り合って実現した本なので、全編エロチックな話なのだが、その割にあまり下品な感じがしないのは「平安の闇」を描く夢枕貘の文章の良さと、天野喜孝の絵の幻想性のおかげだろうか。
 夢枕貘の平安物は、やっぱり「闇の中にいるものと共に暮らしている感覚」が秀逸だよなあ。
 新刊で出たときは見逃していた本だが、これはかなり当たりでした。

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なんだかつかれた日

 どうにもうまくいかない日というのはあるもので、自分にとっては今日(あ、日付かわっちゃったから昨日か)はそんな日だった。
 郵便局のATMは払込用紙を読み込んでくれないわ、本屋では目当ての品が見つからないわ、入ろうと思ってたコーヒーショップは満席だわ……。
 で、こういう日に限って妙なことに出くわす。

 駅前の脇道を歩いていると、車道を走っていたライトバンが停まって、運転席からワイシャツにネクタイの若い男が「すみません」と声をかけてきた。
 道でも聞かれるのかと思って立ち止まると、黒い箱を出して、
「これ、もらって貰えませんか?」
(ハァ?)
「ショッピングセンターに納品したんですけど、書類と物の数が一個ずれちゃって……」
(おいおい)
「これ、ロレックスって言って75万くらいするやつなんですが……」
(……なんじゃそりゃ)

 話が面倒になりそうだったんで、いらんと手を振って別れてきたが、それにしても妙な話だ。
 本当に数が違ったのなら会社に返品するなり、手続きが面倒なら自分でがめちゃえばいいだろうに……詐欺にしたって単なる通行人に車の運転席から呼びかけるってのは、奇抜すぎないか?
 こっちが若い女性とかならまだしも、いい年した野郎相手に、いったい何がしたかったんだ、やつは。

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2004.04.19

ひらひらと舞う影

 日曜日の夕方、家に帰る途中で、日が沈んだ後の青い夕空を背景にコウモリが舞っているのを見た。
 あたりの環境からいてもおかしくないと思っていたけど、今の町に20年以上住んでいながら、近所でコウモリを見たのは初めてのような気がする。
 道の上を何度も往復してたので、結構ゆっくり見られたのがラッキー。

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2004.04.12

連続と断絶と

 岡村秀典『夏王朝 王権誕生の考古学』を読了。
 甲骨文字による「証拠」の出てきた殷王朝と違い、文献と比較できる文字資料が発掘されない夏王朝を認める論議は少々眉唾な所があると思っていたのだが、この本を読むと「二里頭文化が夏王朝伝説のモデルと言っていいのでは」という主張にはかなり納得がいった。

 文献に見られる禹や夏王朝の伝説をあくまで伝説として参考にとどめ、殷王朝につながる文化に倒された王朝規模の文化はなにか……と見たところで、二里頭文化を夏王朝とするのはなかなか説得力がある。
 後の王朝に受け継がれる儀式の会場としての宮殿構造や飲酒儀礼、一方で殷(二里岡文化)以降は断絶してしまった肉を焼いて食べる習慣(殷では肉を煮て食べる)など、連続と断絶の差が興味深い。
 夏王朝伝説をまとめた一章、二章もよいが、やはり第三章以降の考古学研究の成果を紹介したところが非常に面白かった。

 著者もあとがきで「人を見る」姿勢を強調していたが、考古学ネタの醍醐味は、やはり当時生きていた人たちの暮らしぶりを復元するところにあるよなあ。

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青葉の香りがしない

 自分は実家から徒歩5分弱の所で一人暮らしをしているのだが、食生活のいい加減さを心配した母親が粉末の青汁を一缶持ってきた。
 まとめ買いしたのを一つ分けてくれるとのこと。
 困ったなー、と重いながらも目の前で作られてしまったので一杯飲んでみたのだが……。

 青汁って、こんなに飲みやすかったっけ?

 別に美味しいとは思わなかったが、「青汁」という単語から連想するような青臭さというか、葉っぱの臭いが全くしない。缶を開けた時点で小エビのかき揚げのような不思議な香りがぷんと匂ってくる。

 缶を見ると「ケールの葉をフリーズドライにして粉末にしたもの」とのこと。
 これなら一缶空くまで続けられるな……と思いつつ、微妙に物足りない気分だったのはなぜだろう(笑)。

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2004.04.06

知り得たのは人の無知のみ

 先週末になるが、ロード・ダンセイニ『ペガーナの神々』の再読を終了。
 数年前に古書店で手に入れていたのだが、かなり状態が悪かったので今度のアンコールフェアで出たのを買い直した。

 <宿命>と<偶然>の賭けの結果で生まれた神々、夢見て眠る創造主が目覚めるまでの、神々の慰みのために作られた世界、そこで神々の戯れの相手にされる人間達。
 そして、ひたすら知識を求めてむなしき探求に身をすり減らす予言者達。
 希望を持った話もあるのだが、全体を支配する「むなしさ」を覆すにはまるでいたらない。

 同じ「創作神話」であっても『シルマリルの物語』とは、根本的にベクトルの違うものなのだよな。

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